2019年11月

2019年11月30日

マーチンクラックの修正。

早いもので今年もあと一ヶ月。独立開業してから本当に色々と大変でしたが皆さまのご支援のおかげで何とか年が越せそうです。
(*ˊᗜˋ) アリガタヤアリガタヤ
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頑張ってブログも更新します。前回ピックガードを剥がした35ですが境目の所の塗装が少し浮いている部分があります。作業中に爪でも引っ掛けたらチップさせてしまいそうです。

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見た目も悪いので薄めたラッカー(ニトロセルロース)を流して周囲と馴染ませる&固めておきます。
((φ(・ω・*)チョイチョイ…

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さてマーチンの塗り込みピックガードで怖いのはこのひび割れ。通称マーチンクラックです。

セルロイドは経年変化でどんどん縮んでいきますが木材は縮みません。その結果セルロイドが木材を引っ張り上げてしまって表板にヒビが入ってしまいます。(塗装面に入ったヒビ割れをマーチンクラックと呼んでいる人がいますがあれはウェザーチェックと言います)

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今回は幸いな事にヒビがとても浅く裏側までは貫通していませんでした。ヒビ割れた表面をペーパーで均します。

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この時の木屑を少し残したまま薄めたタイトボンドを流します。

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再び均す→ボンド流す→均す→ボンド流す…を数回繰り返したのがこちら。これぐらいにしておけばいいかな。

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あとは全体にサンディングシーラーを塗って硬化したらこちらもペーパーで均しておきます。

新しく貼るピックガードは両面テープでの貼り付けなので出来るだけ表面を平らにして両面テープがしっかり密着できるようにしておきます。

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とりあえず下準備が出来ました。次はピックガードの製作です。(続く)


littlestone5014 at 20:20|PermalinkComments(0)

2019年11月27日

塗り込みピックガード剥がします。

エレキのリペアブログばかり続いているせいかエレキ専門の修理屋みたいなイメージですがアコースティックもリペアしてます。
ソウナノ?( ゚ω゚) (・ω・ )ソウダヨ
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↑そんな訳で今回のブログはマーチンのD-35です。シリアルナンバーから恐らく80年代初期に生産された個体のようです。

当時マーチンはギターの売れ行きがひどく落ち込んでいまして工場では大幅なリストラがありました。腕の良い職人だけが工場に残ったのでこの時期のマーチンは作りが良いという話です。(…と持ち主の方が教えてくれました。勉強になるね。)

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ご依頼はピックガードの交換です。
古いマーチンのセルロイド製ピックガードは経年変化でどんどん縮んで端っこからめくれてしまいます。先端は少し欠けてしまってますね。

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この35にはセイモアダンカンのSA6 MagMicが搭載されてました。今回はこちらにもちょっとした加工を行いますので取り外しておきます。

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ご存知の方も多いと思いますがマーチンのセルロイドピックガードは塗装前の生地に貼り付けて、その後にラッカーが塗装されています。いわゆる塗り込みピックガードですね。(今は塩ビ板などの経年変化の少ない素材に変更されています)

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ピックガードは縮んでいくので境目の塗装は勝手に剥がれていきますが、部分的にまだピックガードに乗ってる塗料があるのでカッターで切れ目を入れておきます。これをしないと塗装がチップする事があります。

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あとはゆっくりとジワジワ剥がしていきます。
今回は違う素材の物に交換するので割れても折れても構わないのですが極力オリジナルは保管しておいた方がリセールバリューが落ちにくいものです。(この状態のピックガードを欲しいという人がいるとは思えないけど取りあえずね。)

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無事に剥がれました。今回は接着剤も緩くなっていましたので熱を加えなくてもキレイに剥がれてくれました。さてさて後は新しいピックガードを張るだけですがこれがそう簡単には行かないのです。(続く)


littlestone5014 at 17:44|PermalinkComments(2)

2019年11月23日

悲劇のアップライトベース、リペア完了。

先日からのアップライトベースはいよいよ仕上げです。とても手間が掛かりましたが完成が見えてきました。
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前回整形した部分は木部がむき出しなのでオイルフィニッシュ用のカラーオイルを調合して擦り込んでおきます。完全に色は合わせられませんが何もしないよりは目立たないかと。

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外していたペグを元通り取り付けます。E線側とG線側のペグが違うので折れた時に一緒に壊れたんでしょうね。

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ボルトオン構造でしたのでネックは外して作業してました。非常に大きな楽器なのでこの仕組みは助かりますね。

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取り付けボルトが2本ありますが実質固定しているのはこのボルト(赤い矢印の所を通すだけ)です。 これ一本でしっかりネックが保持できるので木工精度の高さが伺えます。
(・0・。) スゴーイ!

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もう1本のボルトはネックの仕込み角度を調整するものでした。赤い矢印の所の裏側から通して、ボルトの先端は黄色の矢印の所に当たります。

ボルトの締め込み量に応じてネックの仕込み角度が可変しますのでフェンダーのマイクロティルトと同じ構造ですね。(大きいからマクロティルト?)

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ネックを取り付けたらいよいよ弦を張ります。心臓がバクバクして全身から変な汗が吹き出てきます。果たして耐えてくれるでしょうか。
;( ;´꒳`;): ドキドキ

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何とか大丈夫みたいです。
一般的な34インチの4弦ベースで弦の張力は80kgちょっとですが、このアップライトベースだとスケールが長いので100kgを余裕で超えています。(たぶん120kgくらい)
ヒャクニジュッキロ! (*;゚ロ゚) (・ω・;)スゴイヨネ

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こちら側も大丈夫のようです。どうにか持ち応えています。
未知の楽器でしたので苦労の連続でしたが良い経験となりました。お客さんにもご満足いただけてホッと一安心です。ご依頼ありがとうございました。


littlestone5014 at 16:54|PermalinkComments(0)

2019年11月20日

補強材の埋め込み。

前回補強材を埋め込む為の穴開けが終わりましたのでいよいよ補強材を埋め込みます。
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↑補強材にはネックと同じメイプルを使います。こういうメイプル材は地元のホームセンターでは売っていないのでいつも通販ですね。


今回のメイプルはこちらから調達させていただきました。ギターのリペアにお馴染みの木材が一本から販売してもらえるので助かります。

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丸棒を埋めるだけの作業ですが意外に精度の高さが求められます。

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補強材を入れる穴は10ミリのドリルで開けています。
丸棒はそれよりやや太めなので少しづつ研磨して、緩すぎずきつ過ぎずの所まで径を調整します。緩すぎるのは補強材の役目を果たしませんが、きつ過ぎるとボンドの水分を吸った時に膨らんで入れる事が出来ません。

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この緩すぎずきつ過ぎずの加減が非常に難しい所ですが専門学校では卒業証書などを入れる紙筒のフタ位の感触と教わりました。

これが絶妙の例えで、初めて聞いた時は「なるほどあの感覚か!」とポンと手を打ちましたね。ガタ無く収まり、ボンドの水分を吸った時に丁度良い嵌め合いとなります。

アノ カンショクダネ (* ̄o ̄)ノ (゚0゚ * ) ナルホド!!

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ネックの中央にはサポートロッド(板?)が挟まれています。ここに到達するギリギリの深さまで補強材を埋めます。

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ここはタイトボンドで接着します。木材同士がしっかり密着できるケースではタイトボンドが非常に強力です。

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クランプでしっかり固定して丸一日(24時間)放置します。

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接着できたらノコで大ざっぱに余分を落として…

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ノミで細かく整形して…

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最後はペーパーで仕上げます。

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反対側はこんな感じです。何とか峠は越えましたかね。(続く)



littlestone5014 at 16:13|PermalinkComments(0)

2019年11月16日

悲劇のアップライトベース、その後。

なんて事はないのですがブログのタイトルを変更しました。前職場のブログタイトルにとてもよく似ておりますが気のせいです。たぶん。(ちなみにそこのブログは現在閉鎖されておりますので問題ないはず…)
ツレヅレ…(;・∀・)σ (・ω・´;) チガウ!
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さてさて先日からのアップライトベースはE線側に引き続きG線側の作業です。
ナイロンストラップの切れ端が詰め込まれていた部分はそのままでは強度に不安が残りますので整形し直します。他にも接着剤やら、木屑やら、パテやらが盛り盛りでした。

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それらを取り除いてここに均等な隙間が出来るようにします。

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次にメイプルの端材からこんなのを切り出して…

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ここに接着。弦のテンションがとても強く掛かる部分ですのでしっかりと補強します。

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接着できたら厚みを整えてこちらもエポキシで接着。さらっと進行してますがめっちゃ手間が掛かってます。

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アップで見るとこんな感じ。厚すぎず薄すぎずジャストの厚みにしないと意味が無いのはお分かりですよね?
 (¦3冫 ノ)ノ  タイヘンナノヨ…

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G線側は縦にも割れていたので補強用のダボを埋めてます。画像にはありませんが反対側からも入れてます。内側の黒い部分は後からでは塗装しにくいのであらかじめ塗装してから接着しました。

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24時間経過後に補強のダボを入れる穴を開けます。いよいよ佳境に差し掛かってまいりました。(続く)


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