2020年04月

2020年04月29日

マーチンD-35 ナット交換編・その2。

東京では今年のゴールデンウィークはステイホーム週間と言われていますね。これまで以上に外出の自粛が求められているようです。
福岡県も特別警戒都道府県に指定されていますがひとまず連休中は通常営業の予定です。(大丈夫と思いますがどっからか圧力を受けたら休むかも知れません)
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作業の合間にブログの更新です。こんなブログでもステイホームの楽しみになれば幸いであります。

そんな訳で先日からの35はいよいよ仕上げです。溝切りが終わったナットは角を丸く整形して表面を400→600→800番のペーパーで磨きます。

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コンパウンドで磨いたら避けていた弦を再び張って弦溝を微調整。
削りすぎは元に戻せないのでほんのちょっぴり余裕を残して、あとは実際に弾いてもらって微調整です。

画像ではほとんど分からないと思いますがアコギの3弦の溝(エレキだと4弦)はすぐ磨り減ってしまうので少し高めにしています。

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ナット完成です。
それにしてもこれまで数え切れないほどナット交換はやってきましたがいまだに100点満点は出ませんね。

職人の世界で100点の仕事は永遠に出ないとも言われますがそれでも専門学校での実習評価をもとに80点以下と判断した場合は作り直すようにしています。
((φ(._. )ウーム ε3(-ω-。)アカン (。-ω-)ノ⌒゚□ ヤリナオシ

(今振り返ると昔の仕事は客観的な評価が出来ずに80点以下もあったかと思います…すみません…)

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という事で完成!お待たせしました。
☆゚+.d(*゚∀゚*)b゚+.☆デキター‼

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ピカピカのフレットは気持ちが良いですね。ネックの反りもヒーター修正でほぼ適正と言える所まで矯正できました。エレキ並みのペタペタの低弦高です。

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磨り減っていた指板もまぁパっと見には摩耗が分からない程度には修正できました。ご依頼ありがとうございます。
∩(´∀`)∩

littlestone5014 at 20:10|PermalinkComments(2)

2020年04月25日

マーチンD-35 ナット交換編・その1。

コロナウイルス関連の暗いニュースが続きますが、明るい兆しは10万円の特別定額給付金ではないでしょうか。
ジューマン‼  (∩`・ω・) バンバン‼ ハヨ‼
    / ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    ̄ ̄\/___/
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これに期待して何かセールでもと考えておりますがこのご時世に不謹慎だと怒られそうで怖いです。ゴールデンウィーク中の営業もどうしようかと悩みながら今日のブログです。

先日からの35はナット交換の作業に入りましたがこの底面に傾斜が付いているタイプは角度を出すのが難しい所です。少しずつ斜めに削っていって隙間なく合わせるのですが個人的にはここが一番手間が掛かります。

あらかじめ傾斜が付けられているナット材もありますが角度がぴったり一致した事はこれまで一度もありません。
( ・ὢ・ )ウーム

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それが終わったら上面をざっくり削って大まかにナットの形状にします。

使っているナット材はESPの無漂白牛骨です。油分もしっかりあって加工性も良好なので特にご指定がなければいつもこれで制作しています。

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ゼリー状の瞬間接着剤で接着します。すぐに硬化しないのでいくらかゆっくり位置決めが可能です。

最近は底面には接着剤を塗らず指板側に塗るようになりました。交換の際に外しやすいのと、古い接着剤の除去が容易です。これはちょっと多すぎたので写真を撮った後に少し取りました。

(クラシックギターの世界ではナットを接着しない職人さんもいます。ナットと木材の間に接着剤の膜があると音響的によろしくないんだそうです)

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1弦と6弦を張ってE to Eの距離を決めます。元のナットも参考にしてフレット幅を十分に活用しつつ弦落ちしにくい所を探ります。

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今回はE to Eが36,5mmとなりましたのでそれを5で割って各弦の間隔は7,3mmになります。手作業でキレイに等間隔な溝を切るのは本当に難しいです。

ナット交換は要求される技術や職人の手間、必要な特殊工具の事を考慮しますと1万円ぐらい欲しいのが正直なところです。
イチマン トレバ?(´・ω・) (;ω;`) オキャクサンガ ヘル

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残りの弦も張って溝を切ったら一旦弦を避けてナット全体を細かく整形していきます。ここまで来るといくらか緊張感から開放されます。(続く)

littlestone5014 at 18:55|PermalinkComments(0)

2020年04月20日

マーチンD-35 フレット交換編・その2。

このご時世やはりご来店のお客さんが減ってきました。
皆さん不要不急の外出を控えているからだと思うのでこれは感染拡大を防ぐ意味でとても良い事です。
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幸いご依頼品のバックオーダーがまだたくさんあるので仕事は無くなりません。このブログも自宅待機の暇つぶしになってくれたらいいなと思いながら今日も更新します。
_(┐「ε:)_ステイホーム

さてさて先日の35は指板修正に入りました。トラスロッドが入っていないので逆反りの状態で研磨します。弦を張ったらこうなる筈と予測しながらの研磨なのでこれまでの経験と勘が頼りです。

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これぐらいでいいかな?
指板のヘコみ(摩耗)は無くなるまで研磨すると指板が薄くなるのとフレット溝が浅くなるのでほどほどの所で止めて周囲と馴染ませます。

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いつの間にかフレット打ち込み完了。今回は国産のニッケルシルバーのフレットでサイズはミディアムワイド(幅2,62mm 高さ1,17mm)です。

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ヤスリで余分を落とします。スチュアートマックから専用工具も出てますが未だに専門学校で習った通りに鉄工ヤスリで削り落としてます。

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すり合わせと同時にフレットエッジも丸めます。(最近流行りの球面処理は出来ません…)

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すり合わせもネックが逆反りのまま行います。今回はかなり弦高を低く設定しますので14フレットより上はやや多めに研磨します。

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はい!すり合わせ完了!ピッカピカです。
トチュウノ ガゾウ!( #゚д゚)σ)д゚) トルノ ワスレタ

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次はナットです。
この業界では「職人の腕前はナットを交換させれば分かる」と言われます。個人的にはフレット以上に神経を遣う作業です。(続く)

littlestone5014 at 19:43|PermalinkComments(0)

2020年04月17日

マーチンD-35 フレット交換編・その1。

緊急事態宣言が全国に拡大されて、福岡県は特定警戒都道府県になりました。
特定警戒って今までと何が違うのかよく分かりませんがこれまで以上に用心しなさいという解釈でいいのでしょうか?
オミセ ヤスム?(´・з・)(´⌒`;)カンガエチュウ
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さてどうしたものかと悩みながらブログの更新。
幸いブログのネタはたくさんあります。今回はマーチンのD-35です。フレットとナット交換のご依頼をいただきました。

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以前にピックガードを交換させていただいた35ですね。久しぶりの対面ですがまあまあいい仕事してます。(笑)

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その時にネックの反りと若干のハイ起きがあったのは確認していました。
今回は修正の良いタイミングですがアジャスタブルトラスロッドが仕込まれていない時期の個体です。

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という事でネックアイロンの出番。トラスロッドでの微調整は出来ませんので加減が難しい作業です。

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一週間経過後がこちら。まずまずの結果です。
٩(´∇`●)ヨシヨシ!

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一段落したところでフレットを抜いていきます。
いつものようにふやかす→ハンダごてで熱入れる→クイキリで浮かして抜く→スタッドでめくれた部分をドライバーの軸などを転がしてならす…のパターンです。

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一晩放置して乾燥させたらフレット溝に粘度の低い瞬間接着剤を流して補強します。バインディング付きのネックはフレット溝をさらうノコが入れにくいので流しすぎは要注意です。

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このタイミングでナットも外しておきます。
マーチンのナットは異常に強固に接着されていて外れない時もあるのですが今回は叩くだけで外れました。底面に残った接着剤はマイクロチゼル(ちっこいノミ)で除去しておきます。(続く)

littlestone5014 at 18:57|PermalinkComments(0)

2020年04月11日

S.O.S(サウンド・オフセット・スペーサー)取り付け。

前回のブログの更新直後に緊急事態宣言が発令されました。
ひとまずマスクの着用、店内の換気、消毒を行いながら営業しておりますが先では営業時間の短縮、あるいは臨時休業も検討しております。
_(:°з」∠)_ ドウシヨー 
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しかし外出を控えている方が自宅でブログを見てくださっているのかここ数日アクセス数が上昇してランキングも上位に上がってきました。悪い事ばかりではありませんね。
ヨカッタネ ( *´ω`)ノ(´ω`人)ウレシイ ゴサン

さてさて前回のストラトネックのテレキャスですがローポジションのコードを押さえた時の響きが悪く、特に6弦のピッチの悪さは顕著です。通常のオクターブ調整だけで調整し切れない時はナット位置の補正が必要です。

こんな時に便利なのがHOSCOのサウンドオフセットスペーサー(略してS.O.S)です。説明がめんどくさい長くなりますので↑こちらのメーカーサイトをご参照くださいませ。

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弦と指板の間に挟むだけのシンプルな物ですが取り付けには少々コツが必要です。ひとまずナットと指板に接する部分の角を面取りします。

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面取りしてたのはここですね。ナットにしっかり密着させます。

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本来6弦から1弦までカバーできるのですが今回は1弦の狂いが無かったのでカットしています。(+/-0.5セントの精度のチューナーで計測)

今回のようにネックを握り込むスタイルの方ですとここも結構指に触れます。

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6弦側も触れますがこちらをカットする訳にはいかないのでギリギリまで内側へ入れて角を丸めておきます。

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次に弦高の微調整です。
S.O.Sの厚みが足りず弦に触れない場合は付属のテープを底面に貼ってかさ上げしますが、今回は厚すぎて弦高が上がりすぎです。通常のナット交換と同じ要領で弦溝を切り足します。

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ひとまず完了。S.O.Sはゼロフレットの位置(弦の支点)を太い弦ほど後ろに移動させているのがお分かりでしょうか。太い弦ほど押弦時の音程の変化率が高いのでその分移動させる量が大きくなります。

太い弦ほど後ろなら3弦の支点が4弦より後ろなのが不自然に感じる方もいらっしゃると思いますが音程の変化率は見た目の太さではなく中身の芯線の太さで変わります。(4弦の巻き線をほどくと2弦と同じ位の太さです)

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あとはメタルノブ特有のノイズが出ていましたのでESPのメタルノブノイズキラーの出番です。過去のブログにも何度か登場してますね。

(※知ってると思うけどポット内部の汚れや接点不良が原因のノイズには効果がありません)

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最後に新しい弦(SITのパワーワウンド1046)を張って完成です。ご依頼ありがとうございました。
(´・ω・)(´_ _)

littlestone5014 at 17:45|PermalinkComments(0)