2020年08月

2020年08月29日

ヤマハCPXピックアップ交換編・その2。

気付けば8月もそろそろ終わりですがまだまだ暑いですね。暑さ寒さも彼岸までなんて言いますがまったく秋の気配を感じません。
_(┐「﹃゚。)_アツスギル…
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暑さで溶けそうになりながらブログを更新しております。

前回のCPXですが低く削られたサドルへテンションを掛けるためにブリッジピンの穴からサドルへ向かってスリットを入れます。

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ナットファイルであらかた溝を切ったらドレメルの出番です。

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削っているのはここですね。サドルへ寄せるほどテンションが稼げます。(ここの溝を切るためだけの専用ヤスリも存在しますが持ってません…)

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こういう細いビットは作業中に折れる事も無いとは言い切れないので防護メガネが欠かせません。折れた先端が目に飛んでくるかも知れません。

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出来ました。
サドルから遠い1弦側は溝を長く、近い6弦側は短くしています。

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それが終わったら新しい弦を張ります。今回はSITのフォスファーブロンズのエクストラライト(10~48)です。

最初はライトゲージ(12~54)でしたのでこれでネックやボディに掛かる負担がかなり減らせます。これだけでもいくらか弦高が落ちますし、テンションが緩いので演奏も楽になります。(ここで言ってるテンションは純粋に弦の張力の事)

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この弦に合わせてナット溝を修正します。ビビりが出ないギリギリまで攻めます。

ここに余裕があるほど(解放での)ビビリが出にくいですが、ありすぎるとローポジションの押弦は力が必要で特にバレーコードは難しいです。

※初心者の方でFがどうにも押さえられないという時は楽器店でここをチェックしてもらってください。

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アンプに繋いでピックアップが各弦の音をバランスよく出力しているか確認して作業完了です。

大きく弦高を下げる事は出来ませんでしたが最初の状態からはかなり弾きやすくなりました。ご依頼ありがとうございます。
(๑ゝω・ิ)ノ


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2020年08月23日

ヤマハCPXピックアップ交換編・その1。

修理や改造も仕事ですが弾きにくいというギターの点検調整もたいへん多くのご依頼をいただきます。特に弦高に関わるご相談は本当に多いです。
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今日はそんなヤマハのエレアコCPXです。弦高が高く弾きにくいとの事で調整のご依頼をいただきました。

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点検してみるとネックに目立つ反りやハイ起きは見受けられませんでした。

トラスロッドも適切に締められていましたので今回はナットの弦溝をギリギリまで落としてみます。ローポジションでのプレイヤビリティを向上させるにはナットの弦溝の調整が効果的です。

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サドルはかなり低く削られていてここで弦高を下げるのは困難なので今回は手を加えません。

サドルがあまりに低いとこの下に敷かれているピエゾに十分なテンション(※ここで言ってるテンションとはサドルへの圧力)を加える事が出来ないのです。

音が小さい、音量バランスが悪い、ノイズが目立つなどはテンション不足が原因である事が多いです。

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一応モニターに繋いで確認するとまったく音が出ません。

電池を交換してもダメで、「もしかして…」とピエゾを取り出すと断線してました。
Σ( ̄□ ̄lll ドウシマショ

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ここで完全に断線しています。このタイプのピエゾの一番弱い所で繋ぎ直すのはほぼ不可能です。

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お客さんに破損している事をお伝えしましたところ交換作業も併せてご依頼いただきました。
m(_ _"m) アリガトウゴザイマス

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という事でヤマハの純正交換部品を前職場のM楽器店(ヤマハ特約店)に手配してもらいました。仕様変更したのかピエゾの色が変わっていますが互換性があります。

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なぜかコネクターが付いていないので元のピエゾからコネクターを流用します。ピンに抜け止めのカエシがあるので細いマイナスドライバーでこれを中へ押し戻します。

(※推測:おそらく現行品は表からピエゾの配線を通して、その後でコネクターを付ける方法へ変更されていると思われます。配線穴の大きさを最小限に留める為ではないかと…)

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そーっと引っ張れば外せます。

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引っこんだカエシをまた起こして、逆接にならないように向きに注意して差し込めばOK。これをまた元通り装着して交換作業は完了です。

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配線を内部のクリップに手探りで引っ掛けましたがどうにも配線が突っ張ってます。

配線が短い訳でもないのにおかしいと鏡で内部を見るとクリップが(分かりにくいと思いますが)かなり遠い所にあります。

ここに引っ掛けると配線を引っ張ってまた断線しそうなので今回はこのクリップは使わない事にします。

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と言ってそのままプラプラさせるのもよろしくないので今回はジャックのケーブルに沿わせておきます。(続く)


littlestone5014 at 19:25|PermalinkComments(0)

2020年08月19日

EVHピックアップ交換編・その2。

楽器の世界では開発者の意図とは全然違う方向で脚光を浴びるアイテムがちらほら見受けられます。

例えばEMGもその一つ。メタル専用のピックアップと想像される方がとても多いのですが元々はジャズのプレイヤーやスタジオミュージシャンがノイズレスに演奏するために開発されたピックアップです。

そのノイズレスなサウンドがメタルギタリスト達の目に(耳に?)止まり、試したところ歪みサウンドとの相性も抜群と判明して今に至ります。
ソウナノ! (*゚O゚) (′ – ′ ) ソウダヨ
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…で、そのEMGを搭載すべく作業中のウルフギャング。ザックワイルド仕様のフロント85、リヤ81のセットです。今回のウルフギャングは木材的にはレスポールと同じですので相性も良さそうです。

現在のEMGはコネクターのおかげで配線作業自体は簡単ですがコネクターが反対向きでも入るので要注意です。

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EMGは偽物もぼちぼち出回っていまして、いつからか偽造防止の為にかなり複雑なホログラムのシールが貼られるようになりました。

これもいつかは偽造されるかも知れませんが当面はこれが貼ってあるかどうかが真贋の見極めになりそうです。

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ピンの保護カバーを外してコネクターを繋ぎますがこれも反対向きでも簡単に入ってしまうので注意が必要です。コネクターに目印の三角マーク▲が入っていますのでこれが見えるように差し込みます。

サーボノ コネクター! ( ゚∀゚)o (^ ^* ) ホトンドオナジ

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基本ハンダごては使いませんがピックアップセレクターからの配線だけ薄くハンダメッキを施しておきます。
必須ではありませんがこのあと出てくるコネクティングボードに接続する際に何となく断線しにくいかなと。

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それが終わったらコネクティングボード(EMGではピックアップバスと呼ぶみたいです)に接続します。

差し込んでネジで締めるだけなので難しくありませんが今回はトグルスイッチの配線を上側→フロント、下側→リヤに変更するのでうっかり間違えないよう注意です。

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コネクティングボードにポットからのコネクターもどんどん繋いでいきます。

フロントとかリヤという表記は日本だけで、海外ではフロントをネックピックアップ、リヤをブリッジピックアップと呼ぶのが一般的です。表記の略語もNK(ネック)、BR(ブリッジ)になってますね。

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コネクティングボードは両面テープの付いたベルクロで固定します。
電池を納めるスペースを確保しつつ、配線の取り回しに無理がない所となるとここがちょうど良さそうです。

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電池は柔らかいスポンジでくるんでここに入れておきます。

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当初はザグりも大きく余裕があるかと思っていましたが結構ギリギリでした。
ポットがロングシャフトなのでスペースを圧迫しています。ここは後日電池ボックスを増設するかも知れません。

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新しい弦を張って各部を調整、確認しまして作業完了です。
ノブもスピードノブからストラトノブへ変更しました。ご依頼ありがとうございます。


littlestone5014 at 20:16|PermalinkComments(0)

2020年08月12日

EVHピックアップ交換編・その1。

エレキギターのカスタマイズで圧倒的に多いご依頼はやはりピックアップ交換でしょうか。

その中でもHR/HM系の方からのご依頼は特に多いです。(なぜかジャズやカントリー、ブルース系の方からのご依頼は少ないです)
ナンデ?(*¨) (¨;)ワカンナイ
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今日はそんなHR/HMプレイヤーからのご依頼。EVHのウルフギャングです。

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こちらはエディーモデルとしては珍しいトレモロレスのTOM(Tune-O-Matic)仕様のウルフギャングカスタムです。

TOMに加えてミディアムスケール、ブロックインレイ、メイプルトップ、マホバック、セットネックとギブソンっぽいスペックです。

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ダイレクトマウントではなくエスカッションマウントなのもエディーモデルとしては珍しいです。

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ウルフギャングの興味深い点の一つにトグルスイッチの向きが挙げられます。

通常は上側でフロント、下側でリヤですがウルフギャングはこれが逆さまになっています。諸説ありますがライトハンド(おじさんはタッピングとは言いません)の時にスイッチノブが手に触れにくいように…という説が有力です。

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とは言え一般的なトグルスイッチに慣れている人にとっては違和感があるのも事実。うっかり切り替えを間違えるかも知れません。

今回ピックアップ交換と併せて上側がフロント、下側でリヤのごく普通の配線パターンへの変更もご依頼いただきました。

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こちらがコントロール部分。
アメリカ製とは思えない(失礼)非常に几帳面でキレイな配線です。今回はポット、ジャック、コンデンサーすべて交換します。

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どんどん分解します。あとで元に戻す事もあるかも知れませんのでポット回りは極力配線を繋いだ状態で抜き取ります。

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ここで今回交換するピックアップの登場です!はいドーン!EMGのザック・ワイルドセット!
ザーーーー∩゚ω゚∩ーーーーック!

フロント85+リヤ81の組み合わせはいつからかザックセットと呼ばれるようになり、遂にはEMGからザックのシグネチュアモデルとして発売されるに至りました。EMGのシグネチュアシリーズの中では現在でも人気のセットです。



「ザック・ワイルドって誰?」という方はこちらの動画をどうぞ。
((↑\o( ・_・) コレ

ジェイク・E・リーの後任としてオジーオズボーンに加入したのは有名なお話。当時は中性的で細身なルックスの人だったんですが、いつの間にかものすごくマッチョな風貌に変わりましたね。(続く)


littlestone5014 at 19:44|PermalinkComments(0)

2020年08月08日

モーリスTC-2 フレット(部分)交換編・その2。

北九州は梅雨が明けた途端に連日の猛暑です。暑くてやや夏バテ気味ですがだるい身体に鞭打って今日もお仕事です。
アツーイ…_(⌒(_´;-ω-:)_  ( ꒪҇൧̑ ꒪҄ꐦ)コラ!
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さてさて前回フレット回りが終わったモーリスのTC2はナットに取り掛かります。
今回は元々付いてたナットを再利用。底に突板を貼ってカサ上げすればまだまだ十分使えます。

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弦溝を微調整。この時点ではまだ接着していません。

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一旦外してナットの上面を落とします。元の弦溝が広めに切られていたのであまり大きく落とすと弦が外れるかも知れません。普段よりは余裕を持たせておきます。

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ナットの弦溝が適正かは2フレットのすぐ後ろ(タブ譜的には3フレット)を押さえて、1フレットの頂点から弦までの隙間を見るのが一般的です。6弦は弦の振動が大きいのでここの隙間はやや大きく取ります。

ここの隙間をどれぐらいにするかは職人によってまちまちで、これが正解というような数字はありませんが一応専門学校では目安となる数字は教わります。


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1弦側は触れるかどうかのギリギリまで攻め込みます。画像ではほとんど隙間が見えませんが弦を叩くとキンキンと音が出る位です。

この時弦は演奏時のチューニングにしてしっかりテンションを掛けておかないと目測を誤ります。(緩めているとここの隙間が大きくなる)

ちょっと話しが反れますが買ったばかりの新品ギターはここにかなり余裕を持たせている物が多いので何となく弾きにくいと感じる場合はリペアショップで調整してもらう事をおすすめします。

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指板のRにきれいに沿っているかも大事です。分かりにくいと思いますが3弦は気持ち高めにしてます。(すぐ擦り減るから)

それと1フレットに写り込む弦の影にご注目。すり合わせ時にほとんど研磨してませんのでしっかり山の形が残っているのがお分かりでしょうか。

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かなり研磨したハイポジションのフレットはこんな感じですね。演奏される事はほとんどないポジションですが見た目もキレイに仕上げたいところです。

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トラスロッドを調整してロッドカバーを取り付けます。一仕事終わったと感じる部分です。
ε=( ̄。 ̄;)オワッタ~

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完成です。このあとすぐライブで演奏していただきました。
ご依頼ありがとうございます!ヾ(*´ー`*)ノ゛

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