2022年08月

2022年08月27日

キャッツアイ フレット(部分)交換編・その1

数あるリペアの中でもフレット交換は料金が高額です。膨大な手間や必要な特殊工具類を考えると当然なのですが摩耗したフレットのみを交換する事で安価にしかも短期間で仕上げる事が可能です。
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今回はそんなキャッツアイ(東海楽器)のアコースティックギターです。以前にピックアップの取り付けとフレットのすり合わせのご依頼をいただきました。


その時のブログです。もう2年前ですね。

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この2年でフレットがまた摩耗してきました。

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すり合わせで対応できなくもないのですがぺったんこになりそうなので交換します。4F以降はほとんど減っていませんので3Fまでの交換です。

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ハンダごてで熱を入れながら抜いていきます。

本当は全部抜いて指板のねじれや摩耗を削り取って修正するのがベストですが今回は指板の状態が良好でしたのでこのまま新しいフレットを打ち込みます。

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欠けも少なくキレイに抜けてくれました。フレットを抜く時は指板に与えるダメージをいかに最小限に抑え込むかも大事です。

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同じサイズのフレットが無かったのでご了承いただいた上で一番近いサイズのフレットを打ちます。幅がやや狭いですが高さはほぼ同じです。

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打ち終わって整形が終わった所がこちら。指板修正が省けるのと交換フレットがわずか3本なので早いです。(続く)


littlestone5014 at 18:25|PermalinkComments(0)

2022年08月10日

ストラトYJM仕様 オーバーホール&カスタマイズ編・その3

ありがたい事に最近はメールやお電話でのお問い合わせも増えてきまして修理業務以外もなかなか忙しくなってきました。ブログも更新が遅くなりがちですが作業の合間に少しずつ書いています。
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さてさて前回電装系が終わったストラトはいよいよ組み込みに入ります。

錆だらけだったサドルとネジはネジザウルスリキッドで錆を落としてました。しっかりすすいで中性洗剤で洗って、またすすいで乾かして防錆オイルに漬け込んでから組み込みに入ります。(弦高調整用のイモネジはあまりに錆が酷かったので新品に交換)

サドルのスプリングは短い物が2本混じってますがこれは6弦と3弦に使います。6弦と5弦に使う場合もありますがそこは臨機応変に。

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シンクロトレモロでよくあるトラブルがここのネジの緩み。

いまいちチューニングが安定しないとか、音がシャキっとしないとかはここが緩んでいる事が多いです。(たまに新品でも緩んでる事があります)

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フレットも交換しました。こちらはすり合わせまで終わった所です。当店は塗装の設備を備えておりませんので指板の塗装を残したままの交換です。

指板修正を施す事が出来ないためあまり良い手法とは言えませんが今回はネックのコンディションが良好でしたのでフレットのみを打ち換える事で対応可能でした。

※という訳ですので塗装されたメイプル指板のフレット交換は基本的にはお断りしております。

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先ほど分解整備していたブリッジも取り付けました。もう少しで完成です。

トレモロユニットの6本のビスの締め具合にはコツがあるので説明したい所ですがものすごく長文になるので省略。(聞きたい人はお店に来てね)

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トレモロスプリングはご依頼主様のリクエストでロウビンテージのスプリングに交換しました。トレモロアームは使わない方ですのでスプリングハンガーはやや強めに締めております。

画像では分かりにくいのですがスプリングの下には共振防止のためのスポンジを敷いています。でもバネが鳴ってる感じが好きな方は入れない方がいいです。そこはお好みで。

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ペグも交換。お持ち込みのGOTOHのマグナムロックです。弦をペグポストに通して巻き上げていくだけで弦がロックされる便利なペグです。

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ポスト径が変わるのでペグブッシュも交換です。打ち込みやすいようにペグ穴に車用のワックスを塗ってから叩き込みます。

ちなみに今回のヘッドは2段穴加工がされていたので古いブッシュを抜くのが大変でした。(再利用しないので裏からピンポンチでやや強引に叩き出しました)

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ネジ穴は以前とまったく同一ですので開け直す事もなくそのまま取り付け可能です。

特別難しい事はありませんがまっすぐに取り付けるために当て木を置いて少しずつネジを締めていきます。この当て木が指も当てやすく塗装に傷も入りにくいので重宝しております。(これ何か分かる人いる?)

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ナットも交換です。イングヴェイ仕様ならブラスですが敢えての牛骨。ちなみに弦はSITの0942です。

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弦高など各部を調整して完成です。もうお気付きの方も多いかと思いますがこちらは地元北九州のHR/HMバンド『A.O.Z.』のとっちぃさんのギターでした。

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ライブでお使いになるご予定でしたので早めにお返しして微調整はそれまでの間に詰めていこうかと考えておりましたが幸いにも1発OKが出ました!
♪٩( *ˊᗜˋ)و ヨカッター!


そのライブと言うのが去る6月5日に黒崎ひびしんホールで開催されたワンマンライブです。

メタルバンドがホールでワンマンというだけでも驚きですが北九州市の文化芸術活動支援事業に選ばれて市の教育委員会が後援というのが更に驚きです。こちらの動画でその時の熱気が伝わるかと思います。(満員!)

じるさんのベースもたろちゃさんのSGも僕がリペア&セッティングをさせていただきましたがこのような大舞台で自分の技術がお役に立てたのは職人冥利であります。ご依頼ありがとうございました。


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